睡眠障害
睡眠障害とは
睡眠障害とは睡眠に何らかの問題があり、生活や健康に支障をきたす病気の総称です。現代社会において、睡眠は私たちの心身の健康を維持するために不可欠な要素となっています。十分な睡眠は、集中力や記憶力、免疫力など様々な機能に影響を与えます。ところが、近年は仕事や生活のストレス、生活習慣の乱れなどにより、睡眠障害に悩む人が増えています。
このページでは、睡眠障害の概要について説明するとともに、症状、原因、病気の種類、治療法について分かりやすく解説します。
睡眠障害の症状
睡眠障害の症状は以下の通りです。
- 寝つきが悪い
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目が覚めてしまう
- 夜の睡眠を十分にとっているのに、日中に眠気が強い
- 眠ってはいけない時(車の運転中など)に起きていられない
- 睡眠中に息が止まり、寝た気がしない
- いびきが酷い
- 睡眠リズムが整わない
- 寝ぼけてしまう
- 睡眠中に大声を出してしまう
- 寝言が多い
- 足がむずむずして眠れない
- 寝ている時に足が勝手に動く
睡眠障害の原因
睡眠障害の原因は、ストレス、生活習慣の乱れ、精神疾患、身体疾患など様々なものが考えられます。
ストレス
仕事や人間関係などのストレスは、脳の覚醒状態を亢進させ、入眠や睡眠の継続を難しくさせます。
生活習慣の乱れ
不規則な睡眠時間、夜更かし、昼寝のしすぎ、過度なカフェイン摂取などは、睡眠障害を引き起こします。
精神疾患
うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患は、睡眠障害の症状を引き起こすことが多くあります。うつ病、双極性障害、統合失調症のページをご参照下さい。
身体疾患
睡眠時無呼吸症候群は、肥満で首回りに脂肪がつく事などが原因で起こります。また、パーキンソン病や脳卒中(脳梗塞、脳出血)などの神経疾患も睡眠障害を合併する事があります。
睡眠障害の種類
睡眠障害には、様々な種類があります。代表的なものは以下の通りです。
不眠症
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、日中の倦怠感などの症状を認めます。これらの症状が少なくとも週に3回、3ヶ月間認められる場合は慢性不眠障害と診断します。それ以下の場合は短期不眠障害と診断します。
過眠症
夜の睡眠を十分にとっているのに、日中に眠気が強く、車の運転中など眠ってはいけない時に起きていられないなどの症状を認めます。具体的にはナルコレプシー、特発性過眠症などがあります。ナルコレプシーは、日中の強い眠気、驚いたり笑ったりした時の突然の脱力、寝入りばなになまなましい夢を見る、金縛りなどの症状が現れる病気です。診断には反復睡眠潜時検査(multiple sleep latency test:MSLT)という日中に繰り返し寝てもらい入眠までにかかる時間などを測定する検査を行い、症状と合わせて診断します。
睡眠関連呼吸障害
睡眠中の呼吸が上手くいかない障害で、具体的には睡眠時無呼吸症候群などがあります。睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気、ベッドパートナーからの無呼吸の指摘、生活習慣病の合併などと、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる回数を検査して診断されます。
概日リズム睡眠・覚醒障害
睡眠リズムが、学校や仕事などに合わずに日常生活に支障が出る障害です。時差ぼけもこの分類の一つです。
睡眠時随伴症
寝ている間に、望ましくない体の動きなどが生じる障害です。具体的にはレム睡眠行動障害などがあります。レム睡眠行動障害とは、多くの場合、夢と同じ内容の発声や行動が実際に観察される障害です。
睡眠関連運動障害
睡眠や入眠を邪魔する体の動きが出現する障害です。具体的にはむずむず脚症候群や周期性四肢運動障害などがあります。むずむず脚症候群とは、足を動かさずにはいられない衝動があり、通常は嫌な感覚があり、睡眠を妨げる障害です。周期性四肢運動障害とは、睡眠中に主に足が同じような動きを繰り返し、睡眠を妨げる障害です。
睡眠障害の治療法
睡眠障害の治療法は、原因や病状によって異なりますが、一般的には以下の方法があります。
睡眠衛生指導
規則正しい睡眠、適度な運動、カフェインやアルコールの摂取制限などを心がけ生活習慣の改善を行います。
認知行動療法
睡眠に関する誤った認識、クセを修正し、適切な睡眠習慣を身につけるための心理療法です。
薬物療法
不眠症の場合には、睡眠導入剤や睡眠薬が処方されることがあります。過眠症の場合には、中枢神経刺激薬(モディオダール、リタリンなど)が処方されることがあります。その他疾患にも薬物療法が行われることがあります。
CPAP療法
睡眠時無呼吸症候群の場合、CPAPと呼ばれる機械を使って空気を通りやすくし、呼吸を確保する治療法があります。
睡眠障害は、様々な原因で起こり、様々な症状が現れる病気です。放置すると、生活の質が低下するだけでなく、心身の健康に深刻な影響を与える可能性もあります。
もしあなたが睡眠障害で悩んでいる場合は、早めの受診と、適切な治療を受けることが大切です。一人で抱え込まず、医療機関の専門家に相談しましょう。