強迫性障害
強迫性障害とは
強迫性障害は、自分の意志とは関係なく、強迫観念と呼ばれる不快な考えや衝動が繰り返し浮かび、それを打ち消すために同じ行為を何度も繰り返してしまう精神疾患です。
一生のうちに強迫性障害の診断がつく人は人口の約2~3%と言われており、決して珍しい病気ではありません。若年での発症が多く、35歳以降の発症は珍しいとされています。症状が深刻な場合、日常生活に支障をきたしたり、社会生活を送ることが困難になるケースもあります。
このページでは、強迫性障害の概要、症状、原因、治療法について、分かりやすく解説します。
強迫性障害の症状
強迫性障害の症状は、繰り返される「強迫観念」、「強迫行為」、もしくはその両方を認める病気です。
強迫観念
強迫観念とは、繰り返され、持続する考えや衝動で、ほとんどの人に強い不安や苦痛を引き起こします。
代表的な強迫観念
- お金を触ってウイルスに感染したのではないか
- 自分が他人や物を汚してしまうのではないか
- ガスを消し忘れたのではないか
- 鍵を閉め忘れたのではないか
- いきなり相手を殴りはしないか
- 物事を整然と並べずにはいられない
- 物事を対称に配置せずにはいられない
- 自分の決めた回数や手順に沿って物事を行わずにはいられない
強迫行為
強迫行為とは、不安や苦痛を和らげるために、過剰に繰り返される実際の行動や心の中の行為です。
代表的な強迫行為
- 手を何時間も洗い続ける
- ガスが消えている事を何度も確認する
- 自宅の鍵をかけた事を何度も確認する
- 電柱や窓など目についた物の数を数える
- 心の中で言葉を繰り返す
- 心の中で数字を数える
強迫性障害の症状は、人によって様々です。同じ強迫観念や強迫行為であっても、その頻度や強度が異なります。また、症状は時間経過によって変化することがあり、一時的に症状が良くなったり、悪くなったりすることもあります。
強迫性障害の原因
強迫性障害の原因は、完全には解明されていませんが、遺伝、脳機能、環境要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝
強迫性障害の発症者は、家族内に発症者がいる場合、そうでない人と比べて3~5倍多いと言われています。
脳機能
脳の特定の部位の血流や活動が亢進することが原因として考えられています。また、脳の特定の部位が小さいなど形態的な原因も言われています。
環境要因
幼少期のストレスや、妊娠、出産、育児などのストレスなどが発症リスクを高めると言われています。
強迫性障害の治療法
強迫性障害の治療法は、主に薬物療法と精神療法の2つがあります。
薬物療法
脳内のセロトニンという神経伝達物質に作用する抗うつ薬(SSRI)を使用します。効果が出るまでに2.3週間程度かかるため、即効性のある抗不安薬を使用することも多いです。
精神療法
強迫性障害に対して、行動療法が有効です。行動療法の中で暴露反応妨害法が行われます。暴露反応妨害法とは、不安を感じる場面にわざと自分をさらし、そこで生活を妨害している行動を行わず、それまで行っていた習慣的な行動をしなくても安全であることを体験させ、反復して訓練する方法です。例えば、不潔恐怖の場合、汚いと思うものに触り、手を洗うのを我慢するというやり方です。
治療法は、患者さんの症状や状態に合わせて選択されます。
強迫性障害かもしれないと感じたら、一人で悩まず早めにご相談下さい。