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統合失調症

統合失調症とは

統合失調症は、思春期から40歳頃に発症しやすい慢性的な精神疾患です。人口の約100人に1人が発症すると言われ、決して珍しい病気ではありません。統合失調症になると、思考、感情、行動に様々な影響が現れます。これらの症状によって、日常生活や社会生活に支障をきたすことがあります。

このページでは、統合失調症の症状、原因、治療法について、分かりやすく説明します。

統合失調症の症状

統合失調症の症状は大きく分けて、「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3種類あります。しかし、統合失調症の症状は人によって様々で、全ての症状が現れるわけではなく、症状の現れ方も軽度から重度まで幅広いです。また、症状は時間経過とともに変化することもあります。

陽性症状:本来あるはずのないものが現れる症状

幻覚

実際にはないものを見たり、聞いたり、触ったり、においを感じたり、味を感じたりする症状です。五感全てに関わる可能性がありますが、特に幻聴が特徴的です。

例:誰もいないのに人の声が聞こえる、テレビに映っていない番組が見える、誰も触っていないのに肩を叩かれているような気がする、誰もいないのに人の気配を感じる、食べ物に毒が入っているという味がする。

妄想

あり得ないことを確信してしまう症状です。例えば、自分が監視されている、操られている、殺されようとしている、などといった妄想がよく見られます。

例:自分がテレビやラジオで話題になっている、街中で見ている人が皆自分を知っている、政府が自分の行動を監視している、自分が特別な能力を持っている、誰かが自分を殺そうとしている。

思考の異常

思考がまとまらない、思考が飛ぶ、言葉が出てこない、などの症状です。

例:話している途中で言葉が続かなくなる、何を考えているのか自分でもわからない、簡単な文章を書くことが難しい、会話についていくのが難しい。

行動の異常

奇妙な行動や、場にふさわしくない行動をとる症状です。

例:奇妙な格好をしている、突然歌い出したり踊り出したりする、必要な持ち物を忘れる、約束を守らない、場にふさわしくない発言をする。

陰性症状:本来あるべきものが失われる症状

感情の平板化(感情鈍麻)

喜怒哀楽などの感情が乏しくなる症状です。

例:どんなに喜ばしいことがあっても、喜ぶことができない、悲しいことがあっても、悲しむことができない、表情がいつも同じ。

思考の貧困

思考内容が乏しくなり、会話や文章表現が単調で貧弱になる症状です。

例:会話が続かない、会話内容に深みがない、比喩や抽象的な表現が苦手、話が冗長になる、語彙が乏しい、文法的に誤った文章を書く。

意欲の欠如

何をするにもやる気が出ず、何もしたくなくなる症状です。

例:一日中寝ている、食事をろくに摂らない、家事をやらなくなる、欠勤や欠席が増える、趣味をやめてしまう。

自閉(社会的引きこもり)

周囲への関心が薄くなり、社会的な活動から引きこもってしまう症状です。

例:家族や友人とのコミュニケーションが減る、身だしなみに気を配らなくなる、ずっと自室で一人で過ごす。

認知機能障害

思考、記憶、学習、判断、問題解決、言語理解、注意集中などの能力が低下する症状を指します。

例:気が散りやすい、話を聞いていても途中で内容を忘れてしまう、予定を忘れる、複雑な話を理解できない、計算や判断に時間がかかる、複数のタスクを同時にこなすことが難しい。

統合失調症の原因

統合失調症の原因は完全には解明されていませんが、脳機能、遺伝、環境の複雑な相互作用によって引き起こされると考えられています。これらの要因がどのように相互作用し、統合失調症の発症につながるのかについては、まだ完全には解明されていません。

脳機能

統合失調症の発症には、脳の機能異常が関係していると考えられています。具体的には、以下のような脳機能異常が指摘されています。

ドーパミンなどの神経伝達物質のバランスの異常: ドーパミンなどの神経伝達物質のバランスが崩れると、思考や感情、行動に異常が現れると考えられています。
脳の構造や機能の異常: 脳の特定の部位の構造や機能に異常があることが、統合失調症の発症に関与している可能性があります。

遺伝

統合失調症は、遺伝的な要素の影響を受けると考えられています。家族に統合失調症の人がいる場合、発症リスクが高くなります。双生子の研究では、一卵性双生子の場合、一人が統合失調症を発症すると、もう一人が発症する確率は約50%であることがわかっています。

環境

遺伝的な素因に加えて、環境的な要因も統合失調症の発症に関与していると考えられています。具体的には、以下のような環境的要因が指摘されています。

出生前後のストレス

出生前後のストレスが、脳の発達に影響を与え、統合失調症の発症リスクを高める可能性があります。

思春期のストレス

思春期の強いストレスが、統合失調症の発症を早める可能性があります。
薬物乱用: 特に大麻などの薬物乱用は、統合失調症の発症リスクを高めることがわかっています。

統合失調症の治療法

統合失調症は、適切な治療を受けることで、症状を改善し、社会生活を送ることが可能です。薬物療法と精神療法を組み合わせた治療が基本ですが、患者さんの症状や病状、生活状況に合わせて、最適な治療法を選択することが重要です。治療は長期的な取り組みとなりますが、医師と協力しながら、治療を継続することが大切です。

薬物療法

薬物療法は、統合失調症の治療において最も重要な柱です。抗精神病薬と呼ばれる薬が症状の改善に効果があります。抗精神病薬には口から内服する経口薬以外にも、貼り薬や注射剤もあります。

第一世代抗精神病薬

副作用が強い場合があります。

第二世代抗精神病薬

第一世代抗精神病薬に比べて副作用が少ない傾向にあります。

LAI(Long Acting Injection:持効性注射剤)

LAI(Long Acting Injection:持効性注射剤)は、従来の経口薬とは異なり、数週間に1回の注射で済むという利便性から、近年注目を集めている治療選択肢の一つです。薬の飲み忘れを防ぎ、長期的な安定を目指せる治療法として、多くの患者さんにメリットをもたらしています。

精神療法

精神療法は、薬物療法の効果を高め、患者さんの社会復帰を支援する役割を果たします。統合失調症によく用いられる精神療法には、以下のようなものがあります。

認知行動療法

思考や行動のパターンを認識し、より健全なパターンへと修正することを目指します。

社会技能訓練

社会生活に必要なコミュニケーション能力や問題解決能力などを身につけることを目指します。

家族療法

患者さんと家族の関係性を改善し、患者さんを支える家族の力を高めることを目指します。

その他の治療法

薬物療法と精神療法に加えて、以下のような治療法も有効な場合があります。

作業療法

創作活動や日常生活動作訓練などを通して、社会復帰に必要なスキルを身につけることを目指します。

就労支援

就職活動のサポートや、職場での適応訓練などを提供します。

生活支援

住居や食事などの生活に関する支援を提供します。

修正型電気けいれん療法(m-ECT)

重度の統合失調症の症状を改善するために用いられる治療法です。近年では、薬物療法の効果が十分に得られない場合や、緊急性の高い場合などに選択されることがあります。

治療の重要性

統合失調症は、適切な治療を受けないと症状が悪化したり、社会生活に支障をきたしたりする可能性があるため、早期に診断を受け、適切な治療を受けることが重要です。また、統合失調症は慢性疾患であるため、長期的な治療が必要となります。症状が改善しても、自己判断で治療を中断すると再発する可能性があるため、治療を継続することが重要です。

統合失調症かもしれないと感じたら、一人で抱え込まずに、早めにご相談下さい。

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