うつ病
うつ病とは
うつ病とは、気分が落ち込み、何も楽しめなくなる病気です。誰でも気分が落ち込むことはありますが、うつ病になると、その状態が長く続き、「仕事や学校に行けなくなる」、「家事ができなくなる」など日常生活に支障をきたします。このような状態が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。
うつ病の生涯有病率は約6%と言われています。女性は男性よりも生涯有病率が2倍高いとも言われています。
症状
うつ病の主な症状は以下の通りです。
- 気分が落ち込む、気が滅入ってしまう
- 何をやっても楽しくない、好きだったテレビを見なくなった
- 疲れやすく、だるくて元気が出ない
- 食欲がなく、体重が減った
- 食欲が増した
- 早朝に目が覚めてそこから一睡もできない、夜寝付けない、途中で何度も目が覚める
- 考えがまとまらない
- 不安がある、じっとしていられず無目的に歩き回ってしまう
- 何をするのにも億劫だ
- 自分には価値がないと思う
- 頭がまわらなくなった、集中力がなくなった
- 死について考えてしまう
原因
うつ病の原因は、遺伝的要因、性格傾向(真面目、責任感が強いなど)、ストレスなど、様々な要因が複雑に絡み合い、脳内のホルモンバランスが崩れた結果、発症すると考えられています。また、パニック障害、依存症、発達障害などから二次的に発症することもあります。
なお、うつ病の原因として、3つのタイプに分けられます。1つ目は心因性と言われるもので、社会や家庭、人間関係などのストレスによる心理的負荷の事を指しているものです。2つ目は、内因性と言われるもので、性格傾向や認知面などの内面の事を指しているものです。3つ目は、外因性と言われるもので、脳梗塞や脳炎、甲状腺機能低下症などの身体的不調やステロイド、経口避妊薬などの薬剤が影響しているものです。
治療法
うつ病の治療法には、以下のようなものがあります。
- 休養
- 薬物療法
- 精神療法
- 修正型電気けいれん療法(m-ECT)
- 反復経頭蓋磁気刺激(r-TMS)療法
休養
まずは、ご本人と周囲の人が病気を理解し、「こころ」と「からだ」をできるだけ早く十分に休ませることが重要です。
薬物療法
薬物療法は、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)に作用する抗うつ薬(SSRIなど)を使用します。抗うつ薬開始から効果が出るまでに2、3週間程度かかります。また、再発予防のために、症状が改善しても半年~2年程度は抗うつ薬を継続する必要があります。不安を緩和する働きがある抗不安薬や不眠がある場合は睡眠薬を使用することもあります。
精神療法
精神療法には、支持的精神療法や認知行動療法などがあります。物事の考え方やとらえ方(認知)、もしくは問題とされている行動を患者様自身が見つめ直し、自らが陥りやすいとされる思考や感情パターンを導き出し、これらに対処することで、ストレスを緩和していくものです。
修正型電気けいれん療法(m-ECT)
修正型電気けいれん療法(m-ECT)は、全身麻酔下で筋肉を緩めさせる注射をし、けいれんを起こさずに頭部に通電を行う方法です。うつ病では、抗うつ薬の効果がなく、意識があるにも関わらず意志の発動がない場合や希死念慮が非常に強い場合などに施行されます。適応を見極め、正しく施行すれば、きわめて有効な治療法です。
反復経頭蓋磁気刺激(r-TMS)療法
反復経頭蓋磁気刺激(r-TMS)療法は、抗うつ薬を十分量、十分な期間使用したにも関わらず改善しない中等度以上のうつ病の患者様に対して行います。修正型電気けいれん療法ほどすぐに効果は出ませんが、抗うつ薬と同等の治療効果があると考えられており、それほど緊急的な状況ではない患者様に施行されます。
うつ病は、早期の治療が経過に良い影響を与えます。もし、うつ病かもしれないと感じたら、一人で抱え込まず、是非ご相談下さい。