パニック障害
パニック障害とは
パニック障害は、突然、理由もなく強い不安や恐怖感に襲われ、動悸、息切れ、めまいなどの症状が現れる病気です。発作は数分でピークに達し、通常は30分から45分程持続します。そのあまりの苦しさから、「また発作が起きるのではないか」という不安が募り、外出を控えるなど日常生活に支障をきたすようになります。
パニック障害は、一生のうちに1~4%の方が経験すると言われており、決して珍しい病気ではありません。女性は男性に比べて、2~3倍経験しやすいとされています。一般的には若年の成人期に発症すると言われており、平均年齢は約25歳とされていますが、子供や高齢者にも起こります。
このページでは、パニック障害の概要について説明するとともに、症状、原因、間違われやすい病気、治療法について分かりやすく解説します。
症状や原因、治療法などを理解することで、パニック障害と上手に付き合っていくためのヒントになれば幸いです。
パニック障害の症状
パニック障害の主な症状は以下の通りです。
- 動悸、心拍数の増加
- 息切れ、息苦しさ
- めまい、つらつき、気が遠くなる感覚
- 吐き気
- 手足の震え
- 発汗
- 冷や汗
- 寒気、熱感
- 窒息感
- 現実感がない感覚
- 自分がおかしくなるような感覚
- 死んでしまうのではないかという恐怖
パニック障害の発作は、様々な状況で起こりえます。例えば、電車やバスに乗っている時、人混みにいる時、買い物をしている時、仕事中などです。発作が起きやすい場所は人それぞれですが、多くの人は、自分が逃げられないような状況で発作を起こしやすいと言われています。
パニック障害の原因
パニック障害の原因は、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因などが複合的に関係していると考えられています。
遺伝的な要因として、さまざまな研究から、パニック障害の家族歴があると発症率が上がると言われています。
環境的な要因としては、強いストレスなどが挙げられます。例えば、近親者の死などがパニック障害の発症の引き金になることがあります。
他にも脳の感情のコントロールに関係している部分の問題や、カフェインなどのパニック発作を誘発する物質などが関係していると言われています。
パニック障害と間違われやすい病気
以下のような身体疾患を除外するために血液検査などを行う必要があります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、気分の変動が起きます。甲状腺機能亢進症の方に強いストレスが加わると、心拍数の増加や発汗などが出現します。
褐色細胞腫
副腎髄質という場所からカテコラミンというホルモンが分泌され、吐き気、動悸、発汗、強い不安などが出現します。
物質使用
コカイン、カフェイン、大麻、アルコールからの離脱はパニック発作を引き起こします。
パニック障害の治療法
主な治療法は以下の通りです。
薬物療法
脳内のセロトニンという神経伝達物質に作用する抗うつ薬(SSRI)を使用します。効果が出るまでに2~3週間程度かかるため、即効性のある抗不安薬を使用することも多いです。
精神療法
パニック障害に対して、認知行動療法などが有効です。認知行動療法では、パニック発作を引き起こすような考え方や行動パターンを認識し、修正していくことを目標とします。認知療法として、パニック発作が起こったとしても時間が経てば消失し、命には関わらないことを説明します。
治療法は、患者さんの症状や状態に合わせて選択されます。多くの場合、薬物療法と精神療法を組み合わせて行います。
パニック障害と上手に付き合うために
パニック障害と上手に付き合うためには、以下の点に注意することが大切です。
- 規則正しい生活を送る
- 適度な運動をする
- バランスのとれた食事を摂る
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを溜めない
- 禁煙・禁酒をする
- カフェイン摂取を控える
- 周囲の人に理解を求める
パニック障害かもしれないと感じたら、一人で抱え込まず、早めにご相談下さい。