社交不安障害
社交不安障害とは
社交不安障害は、以前は対人恐怖とも呼ばれていました。人前で緊張したり、他人からの視線や評価を過度に心配したりする症状が続き、日常生活に支障をきたす精神疾患です。75%の人が8~15歳に発症します。発症前に、恥ずかしいと感じた体験をしている場合もありますが、きっかけがはっきりしない場合もあります。女性の方が男性よりも2倍程度発症しやすいと言われています。日本は欧米と比較すると発症者は少ないと言われています。
このページでは、社交不安障害の概要について説明するとともに、症状、原因、治療法について分かりやすく解説します。
社交不安障害の症状
社交不安障害の主な症状は以下の通りです。
- 人前で話すことや発表することへの恐怖
- 人と話すことや食事することへの恐怖
- 注目されることへの強い自意識
- 批判や拒絶されることへの強い恐怖
- 顔が赤くなる、汗が出る、震えるなどの身体症状
これらの症状を認め、「もしあの苦手な状況が起こったらどうしよう」などと恐れ、強い苦痛を感じ、社交的な場面を避け、人との交流を制限するようになります。学業・仕事への影響が大きく、教育年数や収入が減る原因ともなります。人間関係も制限されるため、独身、離婚なども多いと言われています。
社交不安障害の原因
社交不安障害の具体的な原因は完全に解明されていませんが、遺伝的な要因や環境要因、脳の機能異常などが関係していると考えられています。
社交不安障害を持つ方の、両親、兄弟、子供は、社交不安障害を発症する可能性が、そうでない人と比べて2~6倍高いと言われています。
小児期の虐待や生活困難は社交不安障害の危険因子であると考えられています。
社交不安障害の治療法
社交不安障害の主な治療法は以下の通りです。
生活指導
まず睡眠の質を上げること、アルコール、カフェイン、ニコチン摂取を避けることなどを指導します。
薬物療法
脳内のセロトニンという神経伝達物質に作用する抗うつ薬(SSRI)を使用しますが、効果が出るまでに2~3週間程度かかります。SSRIの効果がない場合、抗不安薬やβブロッカーと呼ばれる血圧の薬を使用することもあります。
精神療法
社交不安障害に対して、認知行動療法などが有効です。認知行動療法では、認知の歪みを修正し、行動パターンを変えることで、不安を軽減する治療法です。社交不安障害の不安は、否定的な評価をされることに対する恐怖によって引き起こされます。役に立たない非現実的な思考パターンを持っていることに気付き、その状況において最も役に立つ考え方を探し出すという治療です。
社交不安障害かもしれないと感じたら、一人で悩まず早めにご相談下さい。